日本のメーカーはこうした変化をどう捉え、新たな環境の中でどのように事業展開していくのか。各社首脳へのインタビューを通じ、視界不良の自動車産業の未来を探る。
1回目はホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)の近藤広一副社長に話を聞いた。ロイターのインタビューに28日応じた近藤副社長は、自動車産業にとう汰の時代が訪れたと語る。世界的に生産能力が需要を上回り、どの国の市場でも競争が激化。そうした構造の中でビッグスリーは低迷したと分析する。この時代にメーカーが生き残るには、環境対応技術を磨くことが欠かせず、ハイブリッド車や燃料電池自動車でT型フォードのような大量生産システムを確立する必要があると指摘している。
インタビューの主なやりとりは以下の通り。
──ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N: 株価, 企業情報, レポート)をはじめビッグスリーが深刻な経営危機に直面している。
「ビッグスリーがチャプター11(米連邦破産法11条)の適用になったら私たちも困る。12月2日が米議会へ再建策を提出する期限ということで、どのような策を出すのかわれわれも興味がある。現地で取り引きのある部品メーカーのうち、15─16%はビッグスリーを主要顧客としている。1つでも部品が欠ければ自動車は作れないので、(ホンダが)部品メーカーに財政支援をする可能性もある。ディーラーも、ビッグスリーの販売店とオーナーが一緒のケースがあり、販売にも影響が出る」
──ビッグスリーから支援要請は来ていないのか。
「それはない」
──米政府が自動車メーカーに2兆5000億円規模の低利融資を行う。
「国際競争力を失っても生き残るというのは資本主義の原理原則に反するし、競争上は公正でないと思う。しかし、自動車は一国の基幹産業であり、雇用を守ることも考えると仕方ない。ただ(支援を受けても)その後にずっと(事業を)続けていけるかどうかは疑問がある」
──100年近く業界の頂点に君臨してきたビッグスリーというのは、自動車産業にとってどのような存在か。
「大量生産のシステムを構築し、販売し、さらにサービスもするという今の自動車産業を作り上げたのは彼らだ。われわれはその上に乗っかってビジネスをしている。しかし、自動車産業は創業の時代から成熟期を経て、とう汰の時代に入ってきている。今は大きなプレーヤーがたくさん存在し、800万台の需要しかないのに1400万台の生産能力がある中国を含め、どの市場でも生産能力が過剰になっている。その典型が米国市場で、こうした構造の中で低迷するビッグスリーの現状がある」
──その中で勝つための条件は何か。
「環境に対応した自動車を、安価に大量に作る技術を確立することだろう。どのメーカーも電気自動車やハイブリッド車、燃料電池自動車を出してはいるが、T型フォードのように大量生産し、あれだけの安い価格で消費者に提供できる革新技術は、まだない。これをいち早く実現できたメーカーが生き残っていける」
──ホンダが来年投入する低価格のハイブリッド車「インサイト」は、それに該当しないのか。
「日本では税込み200万円を切りたいと考えているが、『インサイト』の基本コンセプトは、ハイブリッドシステムを積むことで生じる上乗せコストを、3─4年かけてガソリン消費量の抑制で相殺すること。ガソリン価格が1ガロン3ドル程度ならペイするが、1ドルや2ドルでは厳しい。T型フォードのように大量に売れるようにするには、顧客にもっとメリットが出るよう、技術的なブレークスルーが必要だ。ホンダも早く作れと言っているが、取り組まなくてはならない技術領域は、まだまだ多い」
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